閉じ籠もらないこと

閉じ籠もらないこと

2014年が始まってすでに40日が経過した。中長期的目標は以前から掲げているものの今年に入ってからはじっくり腰を据えて取り組めていない。というよりも自らそういう環境に身をおいている。年明け時点で学生生活も残り3ヶ月。遊びも努力も概ね満足できるくらい充実していた学生生活ではあったが、最後の最後まで妥協せず今しかできないことをやりたい、社会人になる前にもっといろんなものを見たり経験したりしたい。そういう思いもあって1, 2, 3月は毎月何かしらのテーマを持って海外に出かけることに決めたのだ。

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それで2013年の大晦日にロンドンへ渡った。ウクライナには行ったことがあるのでヨーロッパは初めてではないがEU圏に来るのは初。ヒースロー空港からビッグベンまで移動して大時計を見ながら年を越したあとは全くのノープランだった。1月13日発のバルセロナから成田への帰りの航空券以外は自分の旅の方向性を決定づけるものは何もなかった。当初頭に浮かんでいたのはロンドン、パリ、バルセロナをヒッチハイクとカウチサーフィンを使って縦断しながら現地の人と文化にディープに触れる2週間にしようというものだった。

1月2日にロンドンの郊外で1台目の車を捕まえてからはあっけないくらい順調に先へ先へと進んだ。ドイツへ向かう一行とドーバーを渡りフランスのカレーを通って東へ。ベルギーのブリュッセル空港で別れた時はなんとも言えない寂しさと興奮の混じった感情だった。バスでブリュッセルの中心地に着いたのがその日の23時過ぎ。パリに向かうはずが気がついたらブリュッセルにいたので宿のあてもまったくないし時間も時間だ。お店がどこも開いていないので酒場に入って宿を知らないか尋ねた。「今日はロンドンからヒッチハイクでここまで来た」と経緯を話すと近くにいた男がクレイジーなジャパニーズだとえらく気に入ってくれて二人でビールを飲んだあと、『おれはゲイじゃないからウチに泊まっていきな』と言われホイホイついて行った。こういうときは難しく考えず直感に従う。休暇を使ってドキュメンタリーを撮りに来たというフランス人のその男と彼の友人と、次の日は街を撮影して回った。

人生はおもしろいなと改めて感じて勢いづいた自分は、その後も直感に従ってヒッチハイクをくりかえしてルクセンブルク、リヨン、パリを回った。ルクセンブルクの要塞そのものの街、リヨンの美食、パリの芸術、そして車に乗せてくれた人々のことは決して忘れられない。パリからバルセロナへと飛んだあとも同じドミトリーにいたオーストラリア人の女性とパエリアとサングリアを味わいに出かけたり一人でアンドラという小さな国まで日帰り旅行をしたりした。カタルーニャの空気感、ガウディの建築、情熱的なフラメンコの舞、そして美食と人々の活気。長年行ってみたいと思っていたバルセロナは本当に素晴らしい街だった。

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日本に帰ってきてからは相変わらずボクシングをしたり語学の勉強をしたり働いたりして忙しくしていた。このときは体調が良くなくて気力もスランプ気味で大変だった。何より時間を取られたのが2月初めに控えていた旅行の計画だった。昨年の夏にモンゴルのウランバートル行きの国際列車で同じコンパートメントだったロシア人の女性とソウルでデートすることになっていたのだが、このときばかりは先のヨーロッパ旅行のような奔放な旅をするわけにもいかず、ウランバートルでとても良くしてくれた彼女のために何をしてあげられるか、どうやったら喜ばせてあげられるかと頭を悩ました。ロシア人女性とソウルでデート、それだけでハードルがものすごく高い。

女性を喜ばすことはいつの時代の男性にとってももっとも難しい課題の一つだ。周到に準備をしていても彼女の機嫌によってはそれらのプランが全く役に立たないこともある。何重苦もの壁があったが事前の用意と現地に着いてからの情報収集と旅で培った勘のおかげで最終的にはとてもうまくいった。彼女はとても喜んでくれたが、一番楽しんでいたのは自分だったと思えるくらい自分にとっても刺激的な休暇だった。日本語を勉強すると言ってくれた彼女がいつかこの投稿を読んだ時には何を思うのだろう。

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先週日本に帰ってきてからはとても好調だ。いろんな面で良い状態が続いている。先日おみやげを渡すためにウクライナ人の女性と中国人の女性と会食したのだが、『Hirokiは日本人っぽくないよね』とお褒めの言葉?を頂いた。「そういえば何でこうして日本でも外国人の友達に囲まれているのだろう」とふと思った。自分が感じている日本の好きな部分、日本人の嫌いな部分、外の国に出たいと思う理由がなんとなく浮き彫りになった気がした。

一年前まではまだ遠く感じていた外の世界がこの一年でグッと身近になった。一年前にウクライナで一ヶ月過ごして働いたり友達を作ったりしたことが原点だなと思う。きっかけをくれた今の職場には本当に感謝している。そして新卒で働き始める前に、来月は卒業旅行に出かけてまた新しい経験を積んで視野を広げて、これからの社会人生活の糧にしたいなと思う。

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